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配当を確定申告すると社会保険料が上がる?2024年度からの変更点

情報更新日: 2026-08-13(税制・保険料率等は変更される場合があります)

源泉徴収された配当を確定申告すると、所得税が還付される場合があります。しかし、申告した所得が住民税にも反映され、国民健康保険料や後期高齢者医療制度の負担が増えることがあります。税金だけを見て「申告した方が得」と判断すると、保険料や医療費の自己負担まで含めた家計では逆の結果になりかねません。特に75歳以上の人は、申告前に翌年度への影響を確認することが重要です。

所得税と住民税で別の方式を選べなくなった

上場株式等の配当には、申告不要、申告分離課税、総合課税という選択肢があります。以前は、所得税では総合課税を選んで配当控除や還付を受け、住民税では申告不要を選ぶ方法が利用できました。これにより、住民税上の所得を増やさず、保険料への影響を抑える選択が可能でした。

ところが、令和5年分の所得税、令和6年度分の個人住民税から、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶ制度は廃止されました。確定申告で総合課税または申告分離課税を選んだ配当は、住民税でも同じ方式で扱われます。自治体へ別途「申告不要」と伝えて切り離すことはできません。

総合課税は給与や年金などと合算して税率を決め、一定の国内株式の配当では配当控除を使える場合があります。申告分離課税は他の所得と分けて課税し、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除を検討できます。どちらも確定申告へ載せれば、住民税の合計所得金額等に含まれる可能性があります。所得税の節税効果と、住民税を基にする制度への影響を同時に試算しなければなりません。

申告した配当が保険料と窓口負担へ波及する

会社員が勤務先の健康保険へ加入している間は、保険料は通常、給与等を基に計算され、配当所得が直接加算される仕組みではありません。一方、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険では、住民税上の所得や課税状況が保険料・給付区分の判定に使われます。申告した配当で所得が増えると、翌年度の保険料が上がる、低所得者向け軽減から外れるなどの可能性があります。

75歳以上が原則加入する後期高齢者医療制度では、所得に応じて医療機関の窓口負担が1割、2割、3割に判定されます。配当を申告したことで基準をまたぐと、保険料だけでなく受診時の負担割合が変わることがあります。介護保険料、高額療養費の自己負担上限、自治体独自の給付にも所得区分が使われるため、影響は一項目では終わりません。

たとえば配当の申告で所得税が数万円戻っても、後期高齢者医療保険料が増え、窓口負担区分も変われば、年間の実質負担が還付額を上回ることがあります。反対に、もともと同じ所得区分内に収まり、譲渡損失との通算効果が大きいなら申告が有利な場合もあります。境界額は世帯構成、自治体、年齢、ほかの所得で異なるため、一般論だけでは結論を出せません。

源泉徴収ありで申告しない選択の意味

特定口座(源泉徴収あり)で受け取った上場株式等の配当や、支払時に税が源泉徴収された一定の配当は、申告不要を選べます。申告しなければ源泉徴収で課税関係が完了し、その配当は現在の制度上、所得税・住民税の申告所得へ算入されません。そのため、国民健康保険料や後期高齢者医療の所得判定への影響を避けやすくなります。

ただし、申告不要にすると配当控除は受けられず、株式の譲渡損失との損益通算や損失の繰越控除に使えないことがあります。「申告しない方が安全」と固定せず、①還付見込額、②住民税の増加、③各保険料、④医療・介護の負担区分、⑤世帯単位で判定される制度、を比較します。一度提出した後の課税方式の変更には制約があるため、申告前の確認が欠かせません。

金融所得を保険料へ反映する議論にも注意

厚生労働省は2024年4月、確定申告をしないため保険料算定に反映されていない金融所得も含め、負担能力に応じた仕組みを検討する考えを示しました。その後も議論は続いていますが、2026年8月時点で、未申告の配当を直ちに一律で社会保険料へ算入する新制度が施行されたわけではありません。将来の検討と、現在適用されるルールを混同しないようにします。

申告を判断する際は、証券会社の年間取引報告書、年金の源泉徴収票、前年の保険料通知を用意し、市区町村の国保・後期高齢者医療・介護保険の各窓口へ具体的に尋ねます。税額は税務署や税理士へ相談し、保険料は自治体へ確認するのが確実です。配当の確定申告は税金だけの手続きではありません。翌年度の社会保障負担まで足して、世帯全体の手取りで選びましょう。

申告する場合としない場合を並べる

実務では二つの表を作ります。申告しない表には源泉徴収済み税額と現在の保険料を、申告する表には所得税の還付見込額、住民税、翌年度保険料、医療の窓口負担割合を書きます。譲渡損失があるなら通算効果、繰越損失があるなら期限も加えます。還付だけを強調しない比較になります。

配偶者控除や扶養判定、住民税非課税世帯向け給付など、本人以外へ影響する制度もあります。税法上の合計所得金額と、社会保険制度が参照する所得は似た用語でも同じとは限りません。自治体へは「影響しますか」ではなく、年齢、世帯構成、配当額を示して問い合わせます。

申告期限直前では確認が間に合いません。年間取引報告書が届いたら早めに試算し、回答した部署と確認日をメモします。配当控除の対象外となる配当もあり、外国株の配当では外国税額控除など別の論点も生じます。保有銘柄の種類を伝えずに一般論だけを聞かないことが重要です。

複数の証券口座がある人は、すべての年間取引報告書を集めます。一口座だけの損益で判断すると、他口座との通算効果を見落とします。同時に、申告へ載せる配当を都合よく口座単位で選べるとは限らないため、課税方式ごとの対象範囲を税務署へ確認します。 なお、同じ世帯でも夫婦の所得を合算して判定する制度と、加入者本人だけで判定する制度があります。後期高齢者医療の窓口負担では世帯内の被保険者の所得や収入も確認されるため、配偶者の資料も用意します。申告による影響が翌年度のいつから始まり、いつまで続くかも自治体へ尋ねると、年間負担を比較しやすくなります。

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