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iDeCo受け取りの「5年ルール」はどう変わった?2026年からの10年ルール

情報更新日: 2026-08-13(税制・保険料率等は変更される場合があります)

iDeCoの老齢給付金を一時金で受け取ると、原則として退職所得として扱われます。会社の退職金も同じ控除を使うため、受取時期が近いと勤続期間とiDeCo加入期間の重複分が調整され、退職所得控除を二重に使えない場合があります。かつて「5年空ければよい」と説明された方法は、2026年1月から対象期間が延びています。古い記事のまま計画しないようにしましょう。

退職所得控除は重複期間を調整する

退職所得控除は、原則として勤続年数20年以下なら1年につき40万円、20年を超える部分は1年につき70万円で計算し、最低額は80万円です。iDeCo一時金では、掛金を拠出した期間などを基に控除額を計算します。退職所得は通常、収入金額から控除額を引いた残額の2分の1が課税対象となるため、控除内に収まれば税負担は生じません。

ただし、同じ期間に会社で働きながらiDeCoへ加入していた場合、二つの給付でその年数をそのまま二重計上できるわけではありません。一定期間内に複数の退職手当等を受けると、前に受け取った給付との重複期間を踏まえて控除額を調整します。問題になるのは受取額の大小だけでなく、順番と暦年、勤続・加入期間の重なりです。

iDeCoを先に受ける場合は2026年から10年に

2025年度税制改正により、iDeCoの老齢一時金を先に受け、その後に会社の退職金を受ける場合の調整対象が拡大されました。2026年1月1日以後に受ける退職手当について、前年以前9年内にiDeCoの老齢一時金を受けていると、重複期間の調整対象になります。一般に「5年ルールから10年ルールへの変更」と呼ばれるものです。

以前は、iDeCo一時金を受けた年から会社の退職金を受ける年まで一定の間隔を空ける設計として、5年という説明が広く使われました。改正後は、たとえば60歳でiDeCo一時金、65歳で会社の退職金という受け方では調整を避けられません。10年という呼び名だけで日付を数えず、「退職金を受ける年の前年以前9年内」という法令上の範囲を税理士などに確認する方が安全です。

改正は単なる検討段階ではありません。2025年度税制改正で法制化され、2026年1月1日以後に支払を受ける退職手当等から適用されています。2025年以前の解説には「延長案」「今後検討」と書かれたものが残っているため、公開日と適用日を確認します。

退職金を先に受ける場合の19年ルール

順番を逆にし、会社の退職金を先に受けて後からiDeCo一時金を受ける場合は、従来からより長い調整期間があります。iDeCo一時金を受ける年の前年以前19年内に退職金を受けていると、重複期間の調整対象となる仕組みで、一般に「19年ルール」と呼ばれます。

したがって、「退職金を先にすれば5年でよい」という理解は誤りです。60歳で会社の退職金、70歳でiDeCo一時金としても、19年の範囲に入ります。年金形式で受ければ雑所得として公的年金等控除の対象になりますが、公的年金や企業年金との合計で税・社会保険への影響が変わります。一時金より必ず有利とは言えません。

受取時期は税額以外も含めて決める

検討には、会社の退職金見込額と勤続年数、iDeCo残高と加入期間、企業年金、公的年金の開始時期が必要です。一時金を複数年に分けられるか、年金と一時金の併用が可能かは運営管理機関の商品規約でも異なります。iDeCoは受取開始時期を一定範囲で選べても、会社の定年や退職金規程は自由に動かせないため、まず勤務先資料を取得します。

退職所得の源泉徴収票や過去の受給記録は長期間保管します。控除調整の計算には個別事情が多く、税制も改正され得るため、受取の数年前と直前に再確認します。税金を減らすためだけに受取を遅らせると、その間の運用リスク、口座管理費用、必要資金の不足が生じる可能性もあります。最適な順番は一律ではありません。税理士や税務署へ具体的な年と金額を示し、手取りと資金用途の両方で決めましょう。

年齢差だけで対象外と判断しない

退職所得の調整は「何歳差か」だけではなく、受け取った暦年と支払日で判定します。誕生日が10年離れているだけで対象外になるとは限りません。役員退職金、企業型DC一時金、中小企業退職金共済など複数の退職手当があると計算はさらに複雑です。勤務先ごとの勤続期間と前職の受給年を一覧にします。

退職金受取時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないと、原則20.42%の所得税等が源泉徴収され、確定申告で精算することがあります。申告書を出せば税額が必ずゼロになるのではなく、過去の退職手当を正確に記載する必要があります。

60歳直前だけでなく50代のうちに、一時金、年金、両者併用の案を作ります。年金受取では公的年金等控除だけでなく、国民健康保険料や介護保険料への影響も確認します。受取総額が同じでも年度ごとの所得が変われば手取りは変わります。

税制だけで時期を決めると、必要な生活資金を取り崩せないことがあります。住宅修繕や医療費など退職直後の支出も年表へ入れ、税引後額と現金残高を同時に比べます。制度は今後も改正され得るため、古い試算は受給申請前に更新します。 具体例として、60歳の年にiDeCo一時金を受け、65歳の年に会社退職金を受ける従来型の設計は、改正後の調整範囲に入ります。単に受取日を数か月ずらしても暦年上の関係が変わらなければ解決しません。どの勤続期間が重複し、控除がいくら調整されるかを金額で試算します。

退職所得控除を超えた部分があっても、課税対象は原則として控除後残額の2分の1です。ただし、勤続年数5年以下の役員等や、一定の短期退職手当等には2分の1課税が適用されない場合があります。自分の給付を一般的な会社員退職金の例へ当てはめないようにします。

受給方法を決める前に、iDeCoの加入者等期間、退職金規程の勤続年数、過去19年の退職手当を時系列にします。その一覧を専門家へ見せれば、口頭で「何年空ければよいか」だけを尋ねるより誤解を減らせます。

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