「今年は昇給したはずなのに、なぜか生活が楽にならない」——2026年5月の家計調査データから、その理由を読み解きます。
2026年5月の家計調査では、働く世帯の平均収入は前年より2.4%増加しました。一見すると生活にも余裕が出ているはずですが、実際にそう感じる人は多くありません。2人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり月320,345円(2026年5月分)。2025年の年平均でも月314,001円(前年比 実質+0.9%・名目+4.6%)となっており、平均的な家庭が月30万円台前半〜半ばを生活費に使っている計算です。
理由はシンプルで、給料が増えるスピードと、生活にかかるお金が増えるスピードがほとんど同じだからです。昨年より毎月1万円給料が増えても、食費や日用品、外食代、保険料などが毎月8,000〜9,000円ほど余計にかかるようになれば、自由に使えるお金はほとんど増えません。
筆者の家庭ではサラリーマンの自分の給料が4月の賃上げで基本給3%上がりましたが、パートの妻の給料は据え置きのため、世帯月収としては3%以下の上昇でした。消費支出はほぼ横ばいですが、身近な食料品は5%、ものによっては10%以上値上がりしているものもあり、給料が上がっているのにお金の減るスピードが早いという感覚があります。
近所の業務スーパーでは牛肉・豚肉の価格高騰に驚くほか、お菓子も内容量が少なくなっており、「そんなにカゴに入れていないはずなのに、レジで見た金額に驚く」ということが何度もありました。外食でも1,000円以内で食べられる店が減り、ランチが100〜200円高くなるなど、小さな値上がりが毎日積み重なって年間では数万円の差になります。
財布に入ってくるお金は増えているのに、出ていくお金も増えているため「生活が楽になった」という実感が湧きません。多くの家庭では、同じ生活を続けるために以前より多くのお金が必要になっているのが実情です。賃上げ自体は前向きな変化ですが、給料の伸びが物価の上昇をしっかり上回って初めて、生活の豊かさを実感できます。「給料がいくら増えたか」だけでなく「そのお金で以前と同じ生活ができるか」という視点が大切になりそうです。